【関連するSDGsのゴール】4,8,10,11,17
今回は、一般社団法人なんと未来支援センターを訪問し、地域に根ざした取り組みについてお話を伺いました。
インタビューに応じてくださったのは、事務局長の定村さんとキャリアコンサルタントの常本さんです。


南砺の未来を支える、多様な事業
「なんと未来支援センター」って、どんなことをしているの?
まずは、そんな素朴な疑問からお話を伺いました。
主な活動は、南砺市からの受託事業を中心に展開されています。
- 地域づくり協議会の支援(小規模多機能自治)
- 結婚活動支援(婚活)
- 移住のコーディネート
- オンラインマッチングで“なんと”と人をつなぐ事業
- 市民福祉の向上支援やDX化のサポート
まさに、“地域の何でも相談所”のような存在です。
なんと未来支援センターは、南砺市が抱える多様な課題に寄り添いながら、住民と行政の間をつなぐ中間支援組織として活躍しています。
「地域の中には、声を上げたいけれど、どうしたらよいかわからないという方が多くいらっしゃいます。でも、なんと未来支援センターがその間に入ることで、地域の方の“思い”をつなげたり、思いを行政に届けることができるんです」と、お二人は話してくださいました。
この取り組みはSDGsの基本理念である「誰一人取り残さない社会」の実現に向けた重要な役割を果たしていると感じました。
地域への貢献が「住み続けられるまちづくり」を支える
「どういったことで地域に貢献できていると感じますか?」とお尋ねしたところ、
お二人は、地域と行政の間に立ち、信頼関係を築く“橋渡し役”としての立場を大切にしていると話されました。
活動の中では、地域の団体同士で事業を紹介し合ったり、互いのモチベーションを高め合う機会をつくることもあるそうです。
こうした“中間支援組織”としての働きが、地域における前向きな動きを後押ししているのだと強く感じました。
「南砺市には、こんな支援センターがあってうらやましい」と、他の地域の方から言われることもあるそうで、この“つなぐ”存在自体が南砺市の大きな魅力のひとつとなっています。
行政と住民の間をつなぐ信頼の架け橋となる組織が存在するかどうか──それは、地域の風通しの良さに大きく影響を与える重要な要素です。行政と住民が共に主体となり協力することで、暮らしやすいまちづくりが実現され、それが「住み続けられるまち」へ繋がっていると感じました。

現場だからこそ見えてくる「課題」
地域づくり協議会での悩み
地域づくり協議会が抱える悩みには、次のようなものがあります。
- 新しい取り組みや事業に踏み出せない協議会がある。
たとえば、デジタル化を進めるために導入を目指している「結ネット」という地域版SNS。地域の特性や状況によって、導入が思うように進まない地区もあるそうです。 - 若い世代の意見やアイデアを交換できる場が不足している。
協議会の担い手は年配の方が多い一方で、異なる視点を持つ若い世代の声を取り入れる必要性を感じている地区もあります。しかし、その具体的な方法に悩んでいるケースもあるそうです。

婚活支援の“むずかしさ”
価値観の多様化により、「結婚しない生き方」もごく自然な選択肢になってきました。
マッチングアプリなどのサービスも増えている中、「地域での出会いの場」をどのように位置づけ、どんなサポートが求められているのか──支援のあり方そのものを見つめ直す時期に来ているようです。
移住支援の“集客の壁”
移住ツアーには多くの魅力があるものの、そもそも「その存在を知ってもらえない」という根本的な課題に直面しています。
この課題を解決するため、企業見学などを組み合わせた新たなツアー企画の検討が進められているとのことでした。
こうした課題は、まさに「人と人」「地域と企業」をつなぐ立場だからこそ見えてくるものだと言えるでしょう。
働きがいも経済成長も
「なんと未来創造塾」や「移住のコーディネート」といった活動は、南砺市における働きがいの向上と経済の活性化に貢献しています。企業と地域が連携し、新たなビジネスチャンスを創出することで、より良い雇用機会を生み出し、地域の経済成長を後押ししています。
また、移住支援は、新たな人材を呼び込み、地域の労働力不足を解消するとともに、多様な働き方を受け入れる社会の形成にも寄与しています。
働きがいのある仕事と社会を作り出すことを目指し、企業との協働を掲げてスタートした「なんと未来創造塾」は、今年で6期目を迎えました。
これまでに地域課題に取り組んできた事業者や団体は約50にのぼります。
この場では、企業が抱く“やりたいこと”と地域の“困りごと”が出会い、新たなアイデアが少しずつ形になってきています。
「地域の未来を、自分たちの手で少しでも良くしていこう」──
そんな前向きな空気が、南砺市には確かに息づいていることを感じました。



未来へ向けて
行政、住民、企業、そしてNPOなど、異なる立場の人々や団体が連携するためのプラットフォームとして機能しています。それぞれの団体が互いの事業を紹介し、協力し合うことで、地域の課題解決を加速させています。このパートナーシップの力こそが、南砺市が直面する複雑な課題を乗り越え、より良い未来を築くための鍵となります。
「人手が足りない」「活動がうまく進まない」──
そんな声が地域にはたくさんあります。
それらを受け止め、企業や団体をつなぐ“橋渡し役”となるのが、なんと未来支援センターの大きな役割です。
お二人は、「民間の方々にも、ぜひ私たちを積極的に活用してほしい」と話してくださいました。
- 地域と行政の間を、若者と高齢者の世代間を「つなぐ」
- 困りごとを抱える人や企業の解決策を「生み出す」
そんな多様な役割を担い、南砺市のSDGsの推進に貢献する「なんと未来支援センター」。ぜひ一度足を運び、地域の未来をともに考えるきっかけとされてはいかがでしょうか。
インタビュアー感想
元地域おこし協力隊 真野剛

地域おこし協力隊として活動していた際に関わった「なんと未来支援センター」は、地域課題の本質を見極め、価値観や捉え方の違いを乗り越えながら問題解決の糸口を探る重要な役割を担っていました。移住希望者へのきめ細かなサポートや婚活イベントの企画運営など、暮らしをより良く継続していくための取り組みは、どれも欠かせないものばかりです。
今回のインタビューを通じて、「なんと未来支援センター」が果たす役割の大きさとその重要性を改めて実感しました。年齢や性別、個々の思いを丁寧に汲み取り、それを地域の暮らしに反映させる業務は決して容易ではありません。だからこそ、今後も同センターのさらなる活躍に大きな期待が寄せられると感じています。