人々の居場所づくりから地域づくりにつなげる / ふくみっつ
取材日:2023年6月29日
ライター:中尾朔也(富山県立大学3年)
【関係するSDGsのゴール】
ふくみっつの拠点である「ふくみっつBASE」を訪問し、代表の中山明美さん(写真左)とメンバーの石崎裕子さん(写真右)にインタビューを行い、お話を伺いました。
ふくみっつが取り組む活動
ふくみっつは、年齢も役職も違う5人の女性メンバーが中心となって2020年より活動を行っているボランティア団体です。「子供から高齢者、外国人であっても誰一人取り残されることなく笑顔で過ごせる地域づくり」「人や情報の交流の場を造り、住民が主体となった地域づくりにつなげる」を目標として様々な活動を行っており、バザーや小矢部川の清掃、高齢者から子供、主婦、外国人などさまざま人の要望や需要に合わせた教室や体験会などのイベントを開催しています。SDGsの17の目標のうち13個に当てはまる活動を行っており、持続可能な地域づくりに大きく貢献していることがわかります
(詳しい活動の様子はこちら)
団体立ち上げのきっかけ
ふくみっつを立ち上げる前の中山さんは在宅介護をしており、そのときのイライラやモヤモヤを解消したい、他の人にも共感が得られる場所が欲しいと感じたそうです。しかし、そんな場所はありませんでした。ないなら作ればいいと考え、「ほっこり南砺」という団体を立ち上げました。ゼロからのスタートでしたが、地域の家を一軒一軒訪問し、参加者をどんどん増やしていきました。「ほっこり塾のみんなの居場所づくり」フォーラムの開催をきっかけに、制度の隙間で生きづらさを抱える人の多様な居場所のあり方に刺激を受け、複合的な課題解決につながる居場所の必要性を強く感じたそうです。そして、活動のネットワークが広がり、「ふくみっつ」の設立に至りました。お互いを認め、補い合う新たな居場所づくりとして、地域内での交流と循環を生み出す持続可能で多様な事業を実施しています。
具体的な取り組み
【古民家再生プロジェクト】
使われていなかった空き家をふくみっつの拠点であるふくみっつBASEとして再利用するため、空き家のセルフリノベーションを地域の子供たちやふくみっつのメンバーで協力して行いました。
【ふくみっつDrive】
不要になった大人服や子供服、スケートボードなどの道具や、消費しきれない食品を持ち寄って、食品や生活用品を必要としている福祉団体や困っている人たちへ寄付を行っています。これまでふくみっつDriveで集められた生活用品は保管されており、ふくみっつBASEに立ち寄れば誰でも寄付、受け取りができます。
【ふくみっつBASEの開放】
毎週金曜日と土曜日の11時から16時にふくみっつBASEを地域の方々に開放し、地域の人が交流できる場を提供し、地域の活性化に寄与しています。
これらの他にも日本語教室の開催やそば打ち体験、蚤の市、小矢部川清掃活動、メディカルおしゃべり会などたくさんのイベントを開催しています。また、定期的に開催される子ども食堂では、Child fund メニューにより、大人の飲食代の一部が子どもの食事代に還元される仕組みを導入されており、様々な交流が生まれています。このように地域の人々の居場所づくりや人材のマッチングにつながるような活動を行っています。
活動における課題と若者への期待
ふくみっつは赤い羽根の募金やバザーなどで得た資金をもとに活動をしています。しかし、それだけでは活動を継続するための資金が不足しており、また、5人だけで活動を行っているため、人手不足にも悩んでいるそうです。そのため、若者にボランティアではなく当事者として参加してもらい、若者が持つ高い発信力を活かしてふくみっつの取り組みを広めてほしいそうです。
<インタビュアーの感想>
近年は、人と人のつながりが薄れてきています。一人暮らしの高齢者だけではなく若年層の社会的孤立も広がっています。これらには近隣の助け合いを受けられない、孤独死、生活困窮など様々な問題へと結びついています。ふくみっつのような人々の居場所をつくり、誰一人取り残さないための取り組みは、この問題を解決できる重要な糸口であると思いました。
また、このような交流の場を作ることはSDGsの普及につながり、地域を活性化させ地域創生にもつながると感じました。
▶ふくみっつFacebook
▶なんとSDGsパートナー宣言書
インタビュアー紹介
中尾朔也
【プロフィール】
富山県立大学工学部環境・社会基盤工学科の3年生。愛知県出身で身近な動物や虫などの生物を見るのが好きです。趣味はゲームで、うまくなるためにいろいろ試行錯誤しながら楽しんでいます。