子どもも大人も食のつながりで笑顔に
/ Funny’s Kitchen

取材日:2023年12月7日
ライター:河島郁弥かわしまふみや(富山県立大学3年)

【関係するSDGsのゴール】

      

南砺市布袋にある「Funny’s kitchen(ファニーズキッチン)」さんを訪問し、オーナーシェフである大河原慎行おおかわらのりゆきさん(写真右)と奥さんの大河原晴子おおかわらせいこさん(写真左)にインタビューを行い、お話を伺いました。

Funny’s Kitchenさんが取り組む事業

当店は、慎行さんと晴子さんの夫婦で営んでおり、慎行さんは東京出身で晴子さんは南砺市出身です。晴子さんは、南砺市こどもの権利条例をつくる作業にも携わってきました。「だれでもハウス“めぐみ”」を営んでいる晴子さんのお母様に、「隣にレストランでもあったらいいのにな」と言われたのがきっかけで2015年7月に「Funny’s Kitchen」を開店し、今に至ります。だれでもハウス“めぐみ”はその名の通り、子どもから高齢者まで誰でも遊びに来ることのできる地域にとって重要な交流の場となっています。
Funny’s Kitchenさんでは主にイタリア料理を提供しており、隣のだれでもハウス“めぐみ”で子どもを遊ばせながら大人はゆっくりランチができます。照明も心地よく、明るく温かい雰囲気があり、机や椅子も角を丸くし子どもが怪我をしないようにするなど店内にも様々な工夫がなされています。また、慎行さんも晴子さんも温かい雰囲気の方たちで、そのおかげでお店の雰囲気もお客さんの気持ちも明るくなるのではないかと感じました。


温かみのある店内。小窓から「だれでもハウス“めぐみ”」で遊ぶ子どもたちの様子を確認できます

 

フードリボンプロジェクト

Funny’s Kitchenさんは独自の取り組みとして、2021年7月よりフードリボンプロジェクトという全国的な活動に参加しています(現状富山県で唯一)。フードリボンプロジェクトとは、大人が300円のリボンを買い、子どもたちがそれを食事券として利用することにより、子どもたちが無料で食事をすることができるというシステムです。飲食店側はリボン代300円を材料費としてその日お店にある食材で食事を用意します。
フードリボンプロジェクトは2021年からスタートしており(当時の名称は「夢食堂プロジェクト」)、全国の小学校約1万9千ヶ所すべての周辺に展開できることを最終目的として活動しています。子ども食堂を毎日開催するのは困難ですが、飲食店であればいつでも食事が提供でき、フードロスも無くせることから、Funny’s Kitchenさんもフードリボンプロジェクトに参加されました。お店では取材日時点で634個のリボンが購入され、子どもたちに607食分食事が提供されています。最初の頃はリボンを購入される方があまりにも多く、購入を断るくらいだったとのことです(今はリボンのストックが少なくなってきているので買いどきです!)。
Funny’s Kitchenさんならではの工夫として、大人はリボンを購入したときに子どもたちにメッセージを書き、子どもたちはリボンを使ったときにやりたいことや楽しいことを書いてもらっていました。これは晴子さんが学んだ心理学を取り入れたものです。これによって、リボンを通して大人と子どもの思いが繋がっているように感じられました。
これらの取組は、3つのSDGsの目標(ゴール1「貧困をなくそう」、ゴール2「飢餓をゼロに」、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」)に貢献しています。


フードリボンプロジェクトの活動状況(2023年12月7日時点)。リボン購入者のメッセージも掲示されています。


リボンを使って食事をした子どもたちへの質問とコメント

 

Funny’s Kitchenさんの子どもたちへの思い

晴子さんは「大人の価値観に抑制されて自分らしさを表現できていない子が多いように感じる。もっと子どもたちが自由に感じたことや思ったことを表現できる環境をつくりたい。そして、子どもも大人も誰も生きづらいと感じることがない、違いを認め合い、支え合える社会をつくっていきたい」とのこと。慎行さんと晴子さんは、自身の家庭も大事にしておられ、小学校から帰ってきたお子様に「おかえり」と言うために、15時にはお店を閉めておられます。
また、Funny’s Kitchenさんが目指しているものが、まさに南砺市こどもの権利条例の内容であるとおっしゃっていました。本条例には「こどもは、自分に関係のあるすべてについて、自由に意見を言うことができます」と記されており、これは晴子さんがしたいと考えていることそのものだと思います。その他にも、虐待はいけないということや保育、教育のことなど、子どもの持つ権利が守られるために必要なことが定められています。これは、SDGsゴール16「平和と公正をすべての人に」の中のターゲット16-2「子どもに対する虐待(中略)をなくす」や16-7「あらゆるレベルでものごとが決められるときには、実際に必要とされていることにこたえ、取り残される人がないように、また、人びとが参加しながら、さまざまな人の立場を代表する形でなされるようにする」に当てはまっているのではないかと思いました。


なんとSDGsパートナーになって

なんとFunny’s Kitchenさんは「SDGsの取り組みをしよう」という特別な意識はないそうです! 子どものためを思って取り組みを進めていたら、それがSDGs目標に合致していました。このように、Funny’s Kitchenさんの子どものためを思った行動や私たちであれば節約をするといった身近な行動がSDGsに繋がっているのだと思いました。
晴子さんは「SDGsパートナーになったことで、今回のように私たち学生やPECとやま(一般社団法人環境市民プラットフォームとやま)さんのような団体と繋がることができた」と語っておられました。このインタビューを通じて、Funny’s Kitchenさんの「子どもの人権を守りたい」という取組がSDGsのゴール16にもつながっていることに気づくことができたように、人との繋がりから取組の可能性の発見があるのではないかと思いました。

 

<インタビュアーの感想>

インタビューをする前まではSDGsに関して何も知りませんでしたが、今回のインタビューを通して、自分のSDGsの理解が深まりました。私のようにSDGsに関して何も知らないという大学生は多いのではないかと思います。SDGs目標のことを知らないと、世界や日本で、また身近で、どのような課題や困難があって、その解決のためにどのような目標が作られているのか分かりません。また、単に知らないというよりもSDGsへの関心がある若者が少ないのではないかと考えられます。SDGsについて考えて発信する人が増えれば、SDGsに関心を持ち取り組む人が増えるのかと思います。そのためにも晴子さんの言うように子どもたちが自由に感じたことや思ったことを表現できる環境をつくっていくことは重要なことだと感じました。また、自分も一人の若者として、今回のweb記事のように自分の感じたことを積極的に発信していきたいと思いました。

 

なんとSDGsパートナー宣言書
Funny’s Kitchen  HP


インタビュアー紹介


河島郁弥かわしまふみや

【プロフィール】
富山県立大学工学部環境・社会基盤工学科の3年生。パスタを作るのが好きでカルボナーラが一番の得意料理です。私の作ったカルボナーラはお店で出ているカルボナーラよりも自信があります。

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